こんにちは。訪問美容師のmakikoです。
このブログは
- これから訪問美容を始めようと思っている方
- 訪問美容になんとなく興味がある方
- すでに訪問美容を開業したけど悩んでいる方
そんな方のために
訪問美容歴20年・美容師歴35年で現役で東京の江戸川区、葛飾区、江東区、千葉県の市川市、浦安市、松戸市を中心に訪問美容サービスを展開している私がリアルな訪問美容に関する情報を発信しています。
皆さんは『終末期』という言葉を知っていますか?
病気が治る可能性がなく数週間~半年程度で死を迎えると予想される時期のことを言います。
今回は訪問美容という仕事を語る上で避けて通れない『終末期』のお話についてです。
訪問美容という仕事をしているとお客様の多くはご高齢の方が多く、そうなるとどうしてもお客様の最期と関わる機会が多くあります。
これはサロンワークではなかなか経験できないことで、美容という華々しい世界とはまた異なった、訪問美容という仕事が持つ大切な要素の一つです。
今回は訪問美容の技術や開業のアドバイスではなく、私が思う「終末期」との関わりかたについて大切なことをまとめてみましたのでご参考ください。※苦手な方は今回の内容は閲覧をお控えください。
お客様とのお別れについて私の向き合いかた
訪問美容をはじめた当初はケアマネさんから「あの人が亡くなった」と聞くと、感情が入り泣いてしまうことがありました。
その時にある施設の職員さんから言われました。
『一人一人に感情移入すると仕事ができないよ』。
言われた時は冷たい言葉だと感じましたが、後になってその人の言っていることも少しわかるようにはなっていきました。
私はそれ以降仲の良かった常連のお客様の姿を見かけなくなってもその人がどうなったのか聞くことをやめました。
ただそれは決して無関心や1人1人に感情を入れなくなったということではなく、毎回これが「最後のカット」になるかもしれないという気持ちで仕事をしようと思ったからです。
お客様を大切に思う気持ちはあの頃から全く変わっていません。ただ思考を変えたのです。
綺麗なカットをして最後を迎えることはご本人やご家族にとって大切なこと。
最後に見るお顔を綺麗にするという仕事にやりがいと責任感を感じると同時に価値のある仕事をさせてもらっていると感謝してカットしています。
実際のエピソード①
在宅カットにてご家族が立ち合いのもと意識がない男性のカットをさせていただきました。
男性の娘さんはベッドの横で「お父さんよかったね。髭剃りもしてもらっていつものお父さんだね」と隣で泣きながら喜ばれていました。
その後家族に見守られながら亡くなったと連絡があり「これでお通夜などで、いつも綺麗にしてたお父さんをみんなに会わせられる」と泣きながら感謝されました。
髪を切るということでここまで感謝されるのは通常のサロンワークではなかなか体験できないことだと思います。
実際のエピソード②
明日から入院するお客様から在宅カットの依頼を受けました。
「明日入院に行ってくるね」とバイバイする際に、その方は「入院前にサッパリできて良かったわ。」と笑顔で仰っていました。
1週間後にそのお客様は亡くなってしまったのですが、その方の喜んだ顔を思い出すとあのような瞬間のためにこの仕事をしてるんだといつも思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はなかなか語るのが難しい「終末期」についてのお話でした。
訪問美容という仕事を個人で開業する上では色々と難しい場面もあります。
この「終末期」との関わりかたもきちんと考えなければならないことの一つ。
ただ幾つになっても、それこそ亡くなる直前になっても髪を切るということはどんな人にも必要なことで、そういったことに関わりを持たせていただける訪問美容という仕事はとても素敵な仕事だと思います。
今回の記事の内容も、訪問美容を開業する際の心構えの一つとしてご参考ください。